【映画】故郷を追われても少女は強く生きていく『ヒトラーに盗られたうさぎ』

世界的な絵本作家ジュディス・カーの実体験を基に描いた自伝的小説「ヒトラーにぬすまれたももいろうさぎ」を『名もなきアフリカの地で』で第75回アカデミー賞外国語映画賞を受賞したカロリーヌ・リンクが監督しました。ヒトラーによる恐怖政治から逃れるため故郷ベルリンを離れ、スイス・フランス・イギリスへ過酷な亡命生活を強いられた9歳の少女アンナは家族の絆を深め、生きる希望を見出していきます。映画『ヒトラーに盗られたうさぎ』は2020年11月より、シネスイッチ銀座にて全国順次ロードショー。

ストーリー

1933年2月。ベルリンに住む9歳のアンナは、兄のマックスや友人とともにカーニバルを楽しんでいた。しかし、同じ夜クラシックのコンサートに行く準備をしていたはずの両親はなぜか出掛けないまま、深刻な顔で話し込んでいた。

翌朝アンナは「家族でスイスに逃げる」と母から突然告げられる。ユダヤ人で新聞やラジオでヒトラーへの痛烈な批判を展開していた辛口演劇批評家であるアンナの父は、“次の選挙でヒトラーが勝ったら反対者への粛清が始まる”という忠告を受けており、ヒトラーの勝利が現実味を帯びてくるにつれ密かに亡命の準備を始めていた。

住み慣れた家を離れる際「持ち物は一つだけ」と母に告げられたアンナは、大好きな“ピンクのうさぎのぬいぐるみ”、そしてお手伝いさんのハインピー、食卓、書斎、ピアノ、台所…一つ一つに別れを告げる。

それは、それまで何不自由なく暮らしていた彼女の平和な家族の風景が一変し、この日を境に過酷な逃亡生活へと足を踏み入れていく始まりでもあった…。というストーリー。

【ナチスによる迫害から逃れて生きる生活】

ヒトラーが政権を取ろうとする中、両親はベルリンからスイスへ亡命しようと準備をしていきます。その中、子供であったアンナはどんな気持ちで故郷のベルリンを後にしたのでしょうか。きっと住み慣れた場所と気心知れた人たち、愛着のある持ち物はどんなものでも持って行きたかったはずです。
 
スイスでは父アルトゥアの仕事がなかったためパリへ亡命しますが、生活は厳しく困窮し食事さえもままならなくなります。
ドイツでは何不自由なく暮らし、お手伝いさんもいた頃の生活とは一変してしまうのにアンナは文句も言わずに亡命生活に慣れようとし、パリではフランス語も習得します。

アンナの前向きな姿勢や懸命に生きていく強さに心を打たれます。そんな厳しい生活の中でも両親はアンナや兄マックスを温かい愛で包んでくれます。

家族の絆は逃亡生活を経て更に深まり、貧困に喘ぎ、ユダヤ人差別にさらされても、支え合い希望を捨てずに生き抜きました。何があっても前に進むことの大切さをアンナを通して感じます。ベルリンにいたときは暗い絵ばかり描いていたアンナが明るい絵を描くようになった彼女の生きざまをぜひ劇場でご覧になってみてください。

公開情報

■『ヒトラーい盗られたうさぎ』
URL:https://pinkrabbit.ayapro.ne.jp/
監督:カロリーヌ・リンク(『名もなきアフリカの地で』)
脚本:カロリーヌ・リンク/アナ・ブリュッゲマン
出演:リーヴァ・クリマロフスキ・オリヴァー・マスッチ・カーラ・ジュリ
2019年/ドイツ/ドイツ語/カラー/スコープサイズ/5.1chステレオ/119分/
原題:When Hitler Stole Pink Rabbit 配給:彩プロ
11/27(金) シネスイッチ銀座・川崎市アートセンター・横浜シネマ ジャック&ベイほか全国ロードショー
© 2019, Sommerhaus Filmproduktion GmbH, La Siala Entertainment GmbH, NextFilm Filmproduktion GmbH & Co. KG, Warner Bros. Entertainment GmbH

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